SSブログ

長野県長野市春山B遺跡で平安初大兎墨書土器(長さん)

今回は平安期の中心的律令集落とみられ
てるとされる表題の遺跡で、発掘報告書
は墨書土器を「廣」等と読んだが「大兎」
のようにも見え、更によく見ると「盃免」
と書いてある遺物出土例の紹介である。
 平安時代初に、識字の出来る住人の、
禁酒が解かれた祝いの盃のようにも見え
る、風流な墨書である。
 遺物の写真がweb上に公開されて、
発掘報告書に載っている。発掘報告書が
奈良文化財研究所発掘報告書デタベース
全国遺跡報告総覧に登録公開されている。
 pdfファイル名は以下の通りである。
9250_3_長野市内その9春山・春山B遺跡.pdf
 発掘報告書の名称は以下の通りである。
長野県埋蔵文化財センター発掘調査報告書45
春山遺跡・春山B遺跡、1999・11、
日本道路公団・長野県教育委員会・
長野県埋蔵文化財センター。
 発掘調査地点は東にわずかに春山遺跡
に掛かる程度で、その西に広がった春山
B遺跡が主だったようである。遺物は、
よって春山B遺跡で出土した模様である。
 発掘報告書第4pdf末尾抄録により、
遺跡の場所は、長野県長野市若穂綿内。
遺物が出土したのは発掘報告書冒頭例言
により、西暦1992年前後の事のよう
である。
 遺物の成立年代は発掘報告書第2本文
pdfの第275ページ付近の記載によ
ると、遺物は東側低地のⅢ区Aグリッド
4層上面で出土し「広」なにがしと釈文
され、平安前期成立の土師器のカケラと
みられているように読み取れる。
 遺物の写真は発掘報告書第3前半写真
図版の写真図版(PL)第52”Ⅲ区A
グリッド第4層遺物集中”の、下から2
段目にある。杯型土器のようであり、
遺物番号は特に無い。

春山大鬼.gif

 発掘報告書でも墨書とみている。私見
では、いっけん大兎と読んでしまい、和
将棋の走兎や泰将棋の銀兎、大局将棋の
大鹿等を連想するが、将棋駒名には無い
とみられる。が、よく見ると第1字目上
部は「大」ではなくて「不」とみられ、
更にその下に、カスレて「皿」がある。
また第2字目に兎と私が見た部分も、
右下点は明らかに無く「免」である。
 よって、平安時代初期のこの墨書は、

「盃免」であり飲酒を一盃程度なら許す

との、風流な意味が連想される。2字が、
重ね合わせて書かれた意匠も、雰囲気を
出す為のもののように私見する。なお、
この単語は「扇投興譜」の、「一盃免」
というセリフで、web上に例示されて
いるように思う。(2023/05/01)

nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー