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なぜ日本将棋は敵陣移動毎成、飛車角龍駒成で安定(長さん)

これまで述べたように、本ブログでは、旦代難点
が発生するような、後手マネ9升目小将棋は、

室町時代、ありきたりに指されたのであり、飛車・
角行が導入されて、36枚制から40枚制になっ
てから、よりモダンな戦法に取って代わられた

と主張している。今回は、その観点から、

普通の日本将棋を、旦代難点型陣形から指して、
変遷の一例を辿ってみる

事にする。特に、
①相手陣内、動かす毎自由成りに変化した経緯。
②飛車と角行が、竜王成り、竜馬成りに確定した
経緯。
の2点に、注意を払ってみた。
 結論から先に述べる。
①は捉えやすく、紛れにくいので、自然にそうなっ
た。
①も②も共に、勝負が早く着く方向に変化した。
②に関しては、”竜に守られた国のゲームであっ
て縁起がよい”という賛成意見が、恐らく
後奈良天皇時代に皇室から有り、特に”詔”にそ
の”心”が実際に有ったとすれば渡りに船だった。
 では、論を続ける。
以下に、仕掛け時点で、(無理に)旦代型から出
発する将棋を2局示す。最初の例は、

角替わりが無い局。

 2番目の例は、
角替わりが有り、王手飛車を受けず、打ち駒角で
陣が簡単に、荒らされないように、多少配列を工夫
した、

初期に角替わりをした将棋

である。
 まず、相掛かりではないが、角替わりの無い局は
旦代の難点配列は、以下のようになろう。

日本将棋旦代仕掛.gif

上の局面から進むと、お互いの左辺に攻撃が集中し
て左から崩れ、マネし続けるように注意すると、
玉が弧立した状態で、対称的に以下のようになる。
 
日本将棋旦代対称.gif

結局、2筋の2段目に飛車が有るため、自由成りで
も垂らしの歩兵は、簡単には打てない。
 しかし、互いに崩し合いになるため、①に関する
成りは自由成りでも相手陣聖目突入の一発成りでも、

どうでも良い

ようである。むろん相手陣移動毎成りの方が、

紛れが少なく、進行は速い。

よって、どちらにも難が無く、

賭博等に利用する際、勝負が、なるべく早く着き、
また紛れて争いの火種が、無い方が良いので、
相手陣移動毎、自由成りになったと考えられる。
 この後持駒が互いに大量にあるため、以下のよ
うに、先手後手の対称性は崩れ、勝負はいっきに
着いた。

日本将棋旦代指終.gif

図の指終りのように、こんかいは、飛車・角行を、
不成りで指している。もし、普通に竜王、竜馬に
成れたら、更に手数が少なくなったと見られる。
 よって②についても、将棋の走り駒の成りは、

竜神によって、日本が守られているという信仰上、
竜王、竜馬が良いと、たとえば皇室の後奈良天皇
が発言したとしたら、勝負が速く着くので、渡り
に船で、棋士の皆が従った

と見てよさそうだ。つまり逆に言うと、不成りで
もゲームとしては問題が無く、長くかかるだけだ
ったとみられると、言う事である。
 次に、序盤に角替わりをした局について示す。
以下は、角替わりで、持駒台に角が一枚づつ有る、
旦代難点模様の、駒組の例である。

日本将棋旦代角替仕掛.gif

上の図で、王手飛車を喰わないように、玉を4筋
に移動させている。また、袖の桂馬と香車に、銀
で繋ぎが着くような、配列にしている。
 この陣形から出発して指すと、このケースは、
陣の対称性が悪いため、早期に不規則な形へ変化
する。

日本将棋旦代角替途中.gif

 そして、この場合も、下の指終わり図のように、
ゲーム性能が、成り条件則には、余りシビヤに依
存せず、そこそこ勝負が短い方が、喜ばれたとい
う基準で、成り条件則、飛車、角行の成りが決まっ
たとの印象を受ける結果となった。

日本将棋旦代角替投了.gif

 以上の事から、冒頭に述べたように、
(1)紛れない(2)早い。(3)簡単すぎない。
という条件で、戦国貴族の、持駒ルール飛車加え
平安小将棋等から日本将棋へは、比較的スムーズ
に移行したのではないかとの印象を受けた。加え
る駒が、飛車1枚づつ)角行1枚づつに決まって
からは、混乱する要因は、少なかったように、感
じられるという事である。
 ルールも、判りやすい方向への変化が続いたの
で、事実上の一本化も、16世紀の、遅くても半
ばまでには終わっただろう。

ルールが先にかなり安定して、日本将棋自体が
成立し、その後で、今見られる戦法や囲いの種類
が、次々に出現してきた

のであろう。
 その結果、守りは堅くなり、どちらかと言えば、
幾分長手数掛かる将棋へと、江戸時代に近くなる
頃には、変化していったのだろう。結局こうして、
いよいよ日本将棋の時代が、訪れたと見られる。
 こんかいのチェックから、以上のような心象を、
私には少しづつ、持てるようになってきた。
(2019/10/09)

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