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栃木県宇都宮市上野遺跡で古代奔土墨書土器(長さん)

今回は、発掘で漢字で「泉」と墨書されて
いるとみられた土器だが、上部の白が確認
できず、しかも下部に、漢字で「土」と見
える模様もあり、「水土」か「奉土」の墨
書きが疑われる、古代成立とみられる遺物
の紹介である。
 遺物の写真がweb上に公開されていて、
発掘報告書に載っている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に登録・公開されている。
 pdfファイル名は以下の通りである。
71403_1_上野遺跡-推定東山道関連遺跡-.pdf
 発掘報告書の名称は以下の通りである。
上野遺跡-推定東山道関連遺跡-、
1998年3月、(栃木県)宇都宮市教育
委員会。
 発掘報告書末尾の抄録によると遺跡の場
所は、栃木県宇都宮市上野町4144-1。
遺物が出土したのは、西暦1993年前後
の事のようである。
 遺物の成立年代は、遺物は第Ⅱ調査区の
第2溝(SD02)の第1層から出土した
が、発掘報告書の第24ページ付近の表か
ら、遺物の出土層は各溝第1層だけに限ら
れ、9世紀の平安時代前半成立と考えられ
るように読取れる。なお溝が当時の道路で
あるかもしれないと疑われており、遺物は
道路端に堆積したものであると、解釈され
ているようである。
 遺物の写真は、発掘報告書の写真図版第
6の右下に在り、「泉」墨書土器と付記さ
れているが、そこにナンバリングは無い。
発掘報告書のスケッチ図第14の第9番の、
杯型の須恵器であるとされている物品と、
恐らく同一とみられる。

上野奔土.gif

 上図のように、底の刷毛目が被って緯度
線が入ったような形の、切れ切れ楕円模様
が上部のやや左に在るが、それ以外漢字で

泉の上の部分の「白」にあたる模様が、私
には発見でき無い。

 その薄い楕円に接して、漢字で「水」の
ように見える模様が在り、

「泉」ではなくて「水」ではないかと疑う。

 更に、発掘報告書に指摘が無いのだが、
写真のほぼ中央の下部に漢字で「土」ない
し「士」に見える模様が在る。

祭祀用で、五行の水土と書いた疑いが最も
濃いと私見

する。なお「水土」ではなく「奉土」であ
り、奉は奔と似ているので、摩訶大大/
摩訶大将棋の将棋駒の奔土にも、少し似て
いる。ただし、奔の廿部分が書いてある
可能性は、上図を見る限りは薄く、将棋関
連の可能性は少なそうである。泉から地名
や、使用者名が連想され、そうだとすれば、
比較的レアーで貴重だが。奉物を入れる器
であるとすれば、極端に珍しい物品とまで
はいか無いかもしれないと、このケースに
関しては私は疑う。(2023/01/16)

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