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チェスになぜ18~19世紀熱力学の影響が無い(長さん)

チェス史を見る限り、ゲームとしての
チェスは15世紀後半に今の形になり、
18世紀末のワットの蒸気機関の発明
で、女王が今のルールになる等の変換
は無いとみられる。しかしながら熱力学
と言えば、分子気体運動論や統計力学
が連想されるのであり、その思想が、
王以外の駒の速度は無限大とすべきと
いう発想を生み、例えばポーンの成りの
規則に影響したなどという事が有っても、
おかしくは無いようにも思える。勝とう
としてプレーヤーが意図して駒を動かし
ているいる点がランダムな気体とは違う
が、元々は別々に分かれていた気体の混
じり合いという分子の拡散に似た駒の交
錯が、チェス型ゲームの進行の源である
とすれば、熱力学第2法則とも関連が、
有りそうなものである。そこで今回は、
その気体の分子運動論等の発展した19
世紀が、特にチェスがゲームとして変革
した時期とも言えない理由についてここ
では考えてみた。

蒸気機関を応用する科学技術界にとり、
蒸気の拡散の謎という問題でしか無い、
気体分子運動論は、学術世界の中だけの
話と19世紀初には意識されたよう

である。
 今回は、この点を調べる為、東京大学
出版会/熱学/藤原邦男・兵頭俊夫/西
暦1995年を調査してみた。
 即ちこの成書の71ページ付近に、

平均自由航路は、気体の拡散速度が、
速度自体に比べて4桁小さいという、
アカデミックな議論の中で当時は理論化
された

との旨、記載がある。
 熱学は巨視的な、将棋に準えれば盤の
外枠縁に動く、将棋駒の数だけが数える
事の出来る状況で、それを盤外に当たる、
巨視的世界で利用したものであり、

チェスに準えられる微視的な駒を分子に
置き換えたその分布、つまり気体分子と
いう概念は、20世紀初頭にブラウン運
動の発見でやっと確立したものである

との記載が、同成書の第201ページ付
近にある。
 チェス/将棋類についての「個々の着
手」とは、走駒を典型として見れば当然
だが、平均自由航路分だけ気体が動く時
間であるが、局面が進んで盤内駒密度の
下がる、取り捨てチェスゲームにおいて、
だんだんに実際の時間よりも、時刻が過
ぎると長くなる平均自由航路到達時間と
いう中で起こる現象の置き換えであると
いう発想は、

当時の社会の中では、余り注目され無かっ
たので、チェスのゲーマー/デザイナー
に対する影響も無く、ゲーム・ルールを
改善/変化させる力も、特に無かった

ようである。
 つまり平均自由航路の議論から発展し
たマックスウェルの速度分布則の説明が、
冒頭の成書の83ページ付近に有り、
王以外の駒の速度が充分速くて、対局
が始まり、仕切りが外されると、分子の
拡散のように、駒が動いてゆくとすれば、
やがて王に相手駒が当たって、終局に
なるか、スチールメイトになるのかは明
らかだから。大方の駒は邪魔駒のポーン
の一部を除いて、終盤にオール走り駒に
なった方が王はとばっちりで、動き出す
というようにでも、し無いとすれば、捕
獲されてゲームを終了出来るという議論
が出ても、おかしくは無いのであろうが。
実際のチェスには、そのようなルールの
変化の歴史は知られてい無いと本ブログ
の管理人は、今のところ認識している。
 正直なところ19世紀の産業革命の頃、
統計力学は社会で、ある程度は持て囃さ
れていたという、イメージを持っていた
ので。今回ここで紹介した成書の記載は、
予想外の記載であり、個人的にはかなり
驚いた。
 21世紀初めの時代の現在では、気体
分子運動論は逆にレトロで、世間で関心
が高いようなイメージを私は個人的には
持ってい無いが。盤は2次元、蒸気機関
は3次元であるものの。その中でチェス
駒とその置き換えの気体の分子という、
微視的要素が運動している点では、蒸気
機関もチェス/将棋も、数学的に似た要
素の有る世界だと考えるので。
 数キロ/秒とか数十キロ/秒という
速度は、流星の地球衝突速度で馴染みの
深い20世紀後半人の特に私は、今後と
も、両者を関連付けながら、ゲームの出
来の議論をも、してみたいと考えている。
(2023/10/02)

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