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興福寺出土将棋駒金将成の正当性は何(長さん)

webの画像を根拠として、本ブログでは、
興福寺で2010年代に出土した、西暦
1098年物酔象将棋駒は、金将成りでは
と疑っている。公開された画像は、ひいき目
に見て、裏側に薄っすら金将の字が、浮かび
上がっているとの意味である。
 以前議論した際、その「史料解釈」が
正しいと仮定し動物としての象の成りをなぜ
金将にしたのかに関して、深い考察は加え
無かった。ゲームの出来に関する考察を加え
ただけであったと記憶する。
 今回は、動物の象でも金に成って良い理由
について、再度考える。

象は動物の象では無く「様相」の意味であり、
「猛々しい様子(の人間)」と解釈

したからである。
 今にして思えば、シャンチーが象棋と表現
される理由を、本ブログの管理人は、より
真面目に考えてみるべきだったと反省される。

象はもともとの意味は、動物の象だが「様相」
の意味の「ゾウ」という音を借りているに、
すぎないというのが、漢字の意味理解の定跡

だ。角川書店「漢字の語源」、山田勝美、
西暦1976年には、「象」も「像」も載っ
ていて、当然だったかもしれ無いが、上記の
ように解釈出来るような解説が載っている。
 酔像が「猛々しい様子」の意味になるのは
当然として、酔象も、仏陀の命を狙った動物
なのかもしれないが、「猛々しい様子」とか、
「戦乱の世の中」いうような意味であり同義
であるように、取れるという事である。
 興福寺では、当然上のように解釈して、酔
象を金将成にしても、おかしくはないし、
酔象が横行や、飲酒を連想して悪行の類なの
で、悪行と類似概念とされ、ときに平安大将
棋のパターンで、玉将の前升目に配置されて
も、さほどの不自然さは、無いのであろう。
 前田藩蔵の色葉字類抄の大将棋の挿し紙に、
「酔」とだけ載っていて、「酔象」では無い
のも、

酔と酔(音借りの)象は、「猛々しい」で
同義だという、「象という字の書きにくさ」
が確かにあったのであろう。

 大阪電気通信大学の、高見友幸先生の言う
とおり、色葉字類抄の大将棋挿し紙の「酔」
は、挿し紙自体の古さというよりは、「象」
という字の存在する価値、書くだけの価値が
有るのかという、意義の曖昧さが原因の、単
なる書きにくさ、だけだったのかもしれない。
 繰り返すが酔象は、酔っ払った動物の象と
いう意味にもなるし、酔った様子という意味
にもなったので、仏教の戒律に触れる飲酒と
いうひっかけで、鎌倉市横小路遺跡周辺では、
かつて鎌倉時代に、横行、酔象、悪行を、
玉将前升目の、同じ位置にとっかえひっかえ
置いたという、だけの事と結論されると私は、
ここに来てようやく悟った。(2023/10/21)

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