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栃木県宇都宮市聖山公園で奈良期龍王墨書土器(長さん)

今回は、奈良時代成立とされる甕のような形の
土器に、漢字で龍王と書いたような模様がある
遺物の紹介である。龍神信仰が思い浮かぶが、
何らかの調理用の器具(一例:肉回しの回転体)
として使用されたと、出土状況から推定されて
いるらしい遺物である。つまり

器ではなくて、回転体:コロの役目をする物品

であったようである。
 遺物の写真がweb上に公開されており、
発掘報告書に記載されている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に登録・公開されている。
pdfファイル名は、以下の通りである。
71427_2_聖山公園遺跡・根古谷台遺跡.pdf
発掘報告書の表題は以下の通りである。
聖山公園遺跡・根古谷台遺跡(古代・中近世編)、
西暦1993年、宇都宮市教育委員会。
 発掘報告書冒頭の例言によると遺跡の場所は、
栃木県宇都宮市上欠町。遺物が発掘されたのは
西暦1985年前後のようである。なお、この
遺跡は、この時点で聖山公園遺跡と呼ばれてい
たが、この後直ぐにその一部で、より古い遺跡
の重なりが発見され、そちらに根古谷台遺跡と
の名称が、付与されたとの事である。
 今回紹介する遺物の成立時期は、発掘報告書
第1pdfの第180ページによると、遺物が
出土した第48号住居跡は、奈良時代成立とし
て分類説明されており、出土した土器も、その
頃の物とされたように読み取れる。
 遺物の写真は、第2写真図版pdfの、写真
図版(PL)第69:”①48号住居跡出土遺
物(2)”の左上に在り(スケッチ図第204
番の)第8番とナンバリングされている。

聖山公園龍王.gif

 上記のように、写真の中央少し上の口の下か
ら縦に、かなり大きく、龍王のようにも読める
煤のような模様がある。
 龍神信仰の祭祀用土器かといっけんすると思
うが発掘報告書によると、カマドで調理に使っ
ていたように書いてある。
 そこで、煤のような模様を良く見ると、依然
はっきりしないが、どちらかと言えば

転(轉)子と書いてある

ようにも見える。
 発掘報告書によると、ほぼ同じ甕形をした7
番土器と繋げて、カマドの上方で食材等が転が
るようにするために使用されたように、読み取
れる。ので、出土品に蒸す食材を入れた後土器
同士で蓋をしてカマドの縁石に挟んでおいて火
の上にかざし、蒸肉を焼くための回転体に使用
する等の意味で「転子」等と、甕の一方に墨書
したのかもしれない。古代の火葬棺桶型蒸器か?
 何れにしても、墨書の字が「龍王」では無い
可能性が、少なくともこのケースに関しては、
どうやら有りそうである。(2022/04/01)

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