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福島県白河市谷地前C遺跡で古代奔人墨書土器(長さん)

今回は、福島県の旧西白川郡東村、現福島
県白河市所在の古代遺跡、谷地前C遺跡で
奈良平安期の土器に、「奔人」のようにも
見える、墨書きが検出されているとの旨の
紹介である。

「俺の物」という意味の「吾人」と読まれ
ている

ようである。
 遺物の写真がweb上に公開されていて、
発掘報告書に載っている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所発掘報告書データベース
全国遺跡報告総覧に登録・公開されている。
 pdfファイル名は、以下の通りである。
23504_1_母畑地区遺跡発掘調査報告.pdf
 発掘報告書の名称は以下の通りである。
福島県文化財調査報告書第85集
母畑地区遺跡発掘調査報告Ⅴ;西原遺跡・
佐平林遺跡(Ⅶ、Ⅷ区)・谷地前C遺跡、
西暦1980年3月、福島県教育委員会。
 遺跡の場所は、発掘報告書第299ペー
ジ付近の「第4編谷地前C遺跡」の題字
ページの下部によると次の通りである。
西白河郡東村大字上野出島字谷地前。水郡
線里白石駅の、西2km程度の地点のよう
であり、現在白河市である。古代の律令村
と見られているようである。
 同じく遺物が出土したのは、同ページに
よると、西暦1979年前後の事のようで
ある。
 遺物の成立年代は、遺物は第27号住居
跡から出土した杯型の土器であり、発掘
報告書の第340ページ及び、第436
ページ付近の記載から、奈良時代中期の、
8世紀半ばと考えられているように私には
読み取れる。
 遺物の写真は、発掘報告書写真図版第
75:”第27・30号住居跡出土土師器”
の最上段右に在り、そのページの第2番と
ナンバリングされている。
 発掘報告書第338ページ付近によると、
「吾人」と釈文されているようである。

谷地前奔人.gif

 上図のように、確かに「俺の物」の意味
の「吾人」のようであるが字が整っていて

まじめに書いている事は明らかだが、問題
の杯の所有者を、本当に識別する気持ちが
有るのかどうかが謎

である。
 酋長格の人間が、付近の人間に対し暗に、
亡くなったら自分を奉じろとの意図で書き、
「現世の奉人」との意味なのかもしれない。
 現代では「吾」は「自分」の意味だが、
奈良時代には「奉人」の生前の人間の意味
だったのかもしれないと、私は疑う。宗教
か呪い活動に使うのであろう。付近からは、
病気の祈祷用と見られる、「足」の異字体
の掛かれた土器も、共出土しているらしい。
(2023/11/01)

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