SSブログ

茨城県つくばみらい市前田村遺跡で平安期泰山墨書土器(長さん)

今回は、茨城県の古代成立とみられる遺跡
遺物に、奉山王と漢字で書かれているように
見える例があり、古代の権力者は山に例えら
れていたらしいという史料の紹介である。
 遺物の写真がweb上に公開されていて、
発掘報告書に載っている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所の発掘報告書データベース
全国遺跡報告総覧に登録・公開されている。
pdfファイル名は、以下の通りである。
18909_3_前田村遺跡J・K区.pdf
 発掘報告書名は、以下の通りである。
茨城県教育財団文化財調査報告第147集
前田村遺跡J・K区、西暦1999年、茨城県・
財団法人茨城県教育財団。
 遺跡の場所は、発掘報告書の第1本文
pdf:
18909_1_前田村遺跡J・K区.pdf
冒頭の遺跡の概略表によると、
茨城県つくばみらい市(筑波郡和原村:当時)
大字田字鴻巣690番地。同じく遺跡の概略
によると、今回紹介する遺物が出土したのは、
西暦1995年前後の事のようである。
 遺物の成立年代は、発掘報告書第1本文
pdfの第153ページ付近の記載によると、
遺物は第509号住居跡で出土したが、遺物
の形態から、この住居跡は9世紀後半の平安
時代に成立したと見られているようである。
 遺物の写真は発掘報告書第3写真pdfの
写真図版(PL)56:”J区第509号住
居跡・竃土層断面・遺物出土状況・出土遺物”
の最下段の左に有り、遺物番号で、第509
号住居跡(SI509)の第3番との旨、
ナンバリングされている、甕の上の方だけの
カケラのように見える土器片である。

前田村遺跡泰山.gif

 上図のように、残った3角形のカケラ部分
の左の方に縦に奉山、右隣に王と漢字のよう
な煤模様が有り、

山を讃えると共に、有力者に何か貢物をしつ
つ、山になぞらえている

ようにも見える。貢ぎ物を豪族に贈る際には、
古代、このように有力者を奉る習慣があり、
山岳信仰の一部も、そのような発想から発生
したのであろう。なお、つくばみらい市から
は、筑波山が遠くに見えるだけだとみられる。
 何れにしても有力者は、古代には神官を兼
ねているケースが我が国では多く、かつ神官
はよろず神々・先祖神に通じていると考えら
れたため、神々の住む山に関連付けられ、
このような祭祀土器の文字のような形として、
残っているのではないかと、今の所私は考え
ている。(2022/05/07)

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー