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平城京池跡で奈良時代の大象口土器杯(長さん)

以前、web上で公開されている
奈良文化財研究所発掘報告書データベース
全国遺跡報告総覧に登録済みの、
奈良国立文化財研究所発行の”奈良平城宮
出土墨書土器集成”を紹介した。pdfファ
イルで登録されており、ファイル名は、
63054_1_平城宮出土墨書土器集成1.pdf
であった。
 同じ文献の別の場所に、

大将棋を連想させる、奈良時代成立とみら
れる、大象口と読める墨書土器の杯が有る

ので以下紹介する。

”大象兢”と書いてあり、大象戯では無い

とみられる。
 書いてある場所は、前に紹介した文献の
PL(図版).59の3段目の左端である。
遺物番号として1060番とナンバリング
されている。

平城宮大象口.gif

発掘されたのは、文献の出た1983年
よりも少し前のようである。場所は平城京
の奈良時代の池跡、SG5800番地点と
いう場所との事である。遅れたが、文献名
は、国立文化財研究所30周年記念史料
(史料第25冊)平城宮出土墨書土器集成Ⅰ、
奈良国立文化財研究所、1983年、
である。報告者は、

3字共に不明と見た

ようである。3字目はごく一部を除いて、
上図より明らかなように、残っていない。
第1字目の上に、更に何か書いて有るかど
うかは、上記文献からは判らない。発掘者
の、遺物を見たときからの感触である合計
3文字との見解に、頼るしか無いだろう。

大将棋を意味する、大象戯だとすると、
奈良時代成立が間違いなければ、藤原頼長
の日記を約400年遡る事になる。

 しかしながら、明らかに第3字目が、

戯や棋、棊であるとは考えられない。

何故なら、上図のように長さは短いが、

右下から右上に向かって墨跡が出ている

からである。ただし、字が全体として、
右から左に流れている上に、特にうまい字
という訳では無い点に、注意する必要は有
るだろう。
 第3字目が何なのかは、私にも確定出来
ないが。一例”兢(恐の意味と見られる)”
と書かれているとしても矛盾は無いと見る。
 2字目は象に、ほぼ間違いなく、最後の
画の消えた象という字が書いてあるのであ
ろうと本ブログでは見る。

”戦象を恐れる”といった意味か、あるい
は、インドのガネシャ神のような姿を連想
した上で”畏れおおい大象”といった意味

では無いのだろうか。
 よって、将棋に無縁では無いかもしれな
いものの、この墨書遺物が残念ながら、

奈良時代の大将棋の存在を示唆する可能性
はほぼ無い。

以上のように今の所、本ブログでは考える
のである。(2021/03/17)

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