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福岡県本町遺跡の瓦に”芳車”将棋駒絵(長さん)

以前、近世近代の自作十六ゲームの出土で
紹介した、福岡県柳川市本町にある本町遺跡
から、江戸時代の瓦の裏に、将棋の絵が
描いてあるように見えるのを、本ブログの
管理人が見つけたので、以下に紹介する。
将棋を良く知らない人間による作のようで
あり、

香車駒ではなく芳車駒になっている。

 報告書は十六ゲームが掲載されていたのと
同一で、pdfファイルは次のものである。
72602_1_本町遺跡.pdf
奈良文化財研究所の発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に掲載されていて、これ
に関しても、web上で見る事が出来る。
発掘報告書の表題は、以下の通りである。
本町遺跡福岡県文化財調査報告書第265集
九州歴史資料館、2018年。
遺物の写真が今度は有り、
図版36本町遺跡出土遺物9に、
”第89図2”とナンバリングされて、右下
隅に載っている。

福岡本町香車.gif

発掘報告書に、画の指摘は特に無い。瓦に字
が描けないわけでもないし、前にどこかで、
将棋に無関係な字が、書いてある例を見かけ
ているので、一応注意していた。ので、この
ケースも発見出来た。この発掘報告書も、単
に十六ゲームが載っているだけではなくて、
将棋文献の仲間入りという事になった。
 さて上記遺物の写真を見ると、元々瓦の裏
は濃い灰色なので、何か酸化チタンの入った
白い色材で、五角形駒型を抜いて、駒字を浮
き出させている。駒は図で上部である。駒自
体は、先が少し潰れて六角形になっている。
駒名は、このケースは駒全体に対して、曲が
らずに書いてある。が、名前自体がおかしく、
飛車でも香車でも無く、第1字目が破損して
完全には判らないが、

”芳車”のようでもある。

またチタン白は、だいぶん雨で流れて、下部
に垂れているようである。何れにしても、曲
面の瓦の裏に駒絵を描く意図は、私には不明
である。業者の書いた、瓦のマークであると
しても、話に矛盾は無いかもしれない。
 成立は18~19世紀のようであり、日本
将棋が元と見られる。将棋駒名がおかしいが、
香と芳は概念が類似しており、別の将棋種と
は考えにくいだろう。単に将棋を習いたてで、

間違えたか、瓦店の屋号がたまたま”芳車屋”
だっただけ

だと今の所、本ブログではしておきたい。
 この遺物は江戸時代な為、当然これで話は
終わりである。駒字が駒に対して曲がってい
ないと、人為的な作図に見えるという一例で
あろう。この手の瓦は相当昔に成立している
物品だと認識される。よってこれが奈良時代
の遺物だったとしたら、将棋史にとっては、
たいへんな問題になったところであったろう。
(2021/03/30)

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