SSブログ

山梨県南アルプス市村前東A遺跡で古墳期奔馬等墨書土器(長さん)

 今回は、以前に奉銀墨書土器が出土したと
紹介したのと同じ遺跡の、発掘報告書に、
奉馬や馬奉の墨書遺物が複数在り、私が見逃して
いたことに気がついたので紹介する。すなわち
今回は、銀が流通していただけでなく、村前A
遺跡は、牧畜も古くから行われたとみられる遺跡
であり、4枚の奉馬・馬奉墨書土器がまとめて
出土したとの旨の紹介である。
 遺物群の写真がweb上に公開されていて、
発掘報告書に載っている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に登録・公開されている。
pdfファイル名は、以下の通りである。
6885_1_村前東A遺跡.pdf
発掘報告書の表題は前にも述べたが以下の通り。
山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第157集
村前東A遺跡、1999.3、山梨県教育委員会・
建設省甲府工事事務所・日本道路公団東京建設局。
 発掘報告書冒頭の例言によると、遺跡の場所は、
山梨県中巨摩郡櫛形町十五所から同郡若草町十日
市町(当時)。遺物群が出土したのは、西暦
1993年前後の事のようである。
 遺物の成立年代は、Ib区の土坑・Ⅳa区46
号住居祉・Ⅳa区72号住居祉いづれについても、
古墳時代と推定されているようである。以前の
奉銀と、成立年代は類似のようである。
 遺物の写真は、第1個目が図版54、下から2
段目左、Ⅰb区1号土坑遺物とされ番号第1番。
奉馬という漢字が書かれているように見える。

村前東奔馬.gif

第2個目が図版60、最下段左、Ⅳa区46号住
居祉の番号第5番。馬奉という漢字が書かれてい
るように見える。

村前遺跡馬奔.gif

第3個目が図版63、上から2段目左、Ⅳa区
72号住居祉の番号第3番。奉馬と書かれていて、
馬が汚れてはっきりしないが、第2列目に、また
馬と書き直され、計3文字書かれているように見
える。

村前72_3奔馬馬.gif

そして第4個目が図版63、上から2段目の3個
目の右一つ置いて隣にあり、Ⅳa区72号住居祉
の番号第4番。ややボヤケているが、奉馬と書か
れているように見える。

村前72_4奔馬.gif

なお以前紹介した奉銀遺物の写真は、発掘報告書
の図版59:”Ⅳa区18号住”の2段目左端に
ある、壺状の土器であると再現されたもので遺物
番号として同遺構の第7番とナンバリングされて
いた。
 こんどの4例についは、いま述べたように全部
大局将棋の奔馬ではなく奉馬であり、古墳時代に
現地に牧場があり、土地の有力者に、馬を献上し
ていたのかもしれない。その馬用の器に献上馬の
印に、前記の漢字を書いたように、私には見える。
 なおこの遺跡では、馬と書かれた墨書も別に出
土し、墨書土器として紹介されている。牧場は
古墳時代かなり大規模なもので、決済用に銀も
流通していたのであろうと私は思う。(2022/03/10)

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー