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北海道八雲町野田生1遺跡で王龍墨書土器(長さん)

 今回はアイヌに文字文化が無いにもかかわ
らず北海道の遺跡で、龍神信仰から来ることを
思わせる、「王龍」の文字が書かれたような、
紀元前1360年前後の成立の土器が出土して
いるという話題である。

偶然模様と考えるがみごとである。

 遺物の写真が、web上に公開されていて、
発掘報告書に載っている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に登録・公開されている。
pdfファイル名は、以下の通りである。
28346_4_八雲町野田生1遺跡.pdf
発掘報告書の表題は以下の通りである。
八雲町野田生1遺跡、西暦2000年~2002年、
財団法人北海道埋蔵文化財センター。
 第1ページ「調査の概要」によると、遺跡の
場所は北海道山越郡(現・二海郡)八雲町
野田生317-6他。遺物が出土したのは西暦
2000年前後のようである。
 遺物の成立年代は、発掘報告書第1本文
pdfの33ページによると、住居跡(AH)
第2号から問題の遺物は出土したが、縄文時代
後期の中頃(北海道のだとみられる)との旨が、
周辺の住居跡といっしょで、出土遺物の形から
推定されると、主張されている。 西暦年では
具体的に紀元前1360年前後の30年である
と考えられるとの旨が、発掘報告書の同じく第
1分冊の第244ページ付近に記載されている。
 遺物の写真は、第4図版pdfの、(写真)
図版62の上段左に在り、遺物番号で第2住居
跡(AH2)出土の、通し番号第93番と
ナンバリングされている。口の広い逆円錐形の
土器であり、割れていたが、ほぼ元の形に復元
できたとの事である。

八雲町王龍.gif

上図のように遺物の写真上の中央やや右よりに、
口の縁の部分から縦に2文字で、割れ目を跨い
で、漢字の王龍のようにも読めるような煤模様
が有る。細かい縄文が右上から左下に入ってい
るが、それとは余り関連性が無いようである。
また、左中央やや下に、斜めに入った煤模様で、
偶然出来た疑いが有るが、今のとは別にもう一
つ縦に2文字で王龍のように見える模様も有る。
なお、発掘報告書に載っている遺物で、漢字に
見える煤模様のようなものは、他には特には無
いようである。北海道の発掘報告書には、全体
として素焼き古代土器の報告が、本州以南より
も少ない傾向があると私は認識しているが、
この報告書は例外的に比較的多い方である。
将棋の駒の名前関連に限らず偶然模様も含めて、
北海道の遺物の漢字煤模様出現頻度は、本州以
南よりも実際に少ない。
 アイヌに文字文化が無いらしい事は、発掘報
告書の遺物説明や、写真図版の確認を冊数を増
やして有る程度すれば確かだとほぼ認識できる。
 今述べたように、このケースに限っては、
他に墨書土器の出土が全く無い上に、漢字のよ
うに見える模様が、一字ずつ書いたような形跡
が弱くて、偶然の連続模様が、たまたま2文字
の漢字に見えるだけのようなため、さしあたっ
てはこの例は、偶然模様だと解釈出来ると、本
ブログでは考える。が、口の縁の部分の「龍」
の字は、「王」の字とくっつきすぎているとい
う怪しさを除けば実にみごとだと、この点で妙
に感心させられた。(2022/03/24)

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