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島根県邑南町今佐屋山遺跡で古墳期奔王墨書土器(長さん)

 今回は、古墳時代には土地の有力者へは、
馬だけでなく、製鉄で得られた剣等の武器
物品も献上されていたと疑われる証拠の墨
書の有る土器遺物を紹介する。
 遺物の写真はweb上に公開されていて
発掘報告書に載っている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に登録・公開されている。
pdfファイル名は、以下の通りである。
13916_5_今佐屋山遺跡・小才遺跡・重富遺跡・
やつおもて古墳群・柳ケ谷遺.pdf
発掘報告書の表題は以下の通りである。
埋蔵文化財発掘調査報告書Ⅳ、1992年3月、
島根県教育委員会。
 ここで話題にする遺物はこのうち、最初
に記載の遺跡、今佐屋山遺跡で出土したよ
うである。
 冒頭例言によると、今佐屋山遺跡は
島根県邑智郡瑞穂町(現:邑南町)市木
6420-10にあるとの事であり、発掘
報告書の本文第1pdf:
13916_1_今佐屋山遺跡・小才遺跡・重富遺跡・
やつおもて古墳群・柳ケ谷遺.pdf
の5ページ付近の第1表によると、遺物が
出土したのは、西暦1989年前後の事の
ようである。
 ここで話題にする、遺物の成立年代は、
発掘報告書第1pdfの66ページおよび、
その少し後の、遺物の説明に関する記載か
ら、第3号竪穴住居跡から出土した、問題
の取っ手付きの甕状土器の成立年代は、竪
穴住居群が、古墳時代後期の6世紀程度と
されているので、その時代のもののように、
発掘報告書本文からは読み取れる。なお、
遺物の出土した付近に、古墳時代の製鉄所
跡が在るとの事である。
 遺物の写真は冒頭に述べた、発掘報告書
のpdfファイルで5番目の(写真)図版
第36:”今佐屋山遺跡”の下段カラム、
2・3号竪穴住居跡出土遺物の、左から
2番目に在り、遺物番号、本文中スケッチ
図31の第9番とナンバリングされている。
繰り返しになるが、取っ手の付いた甕状の
土器のオモテ面に、問題の漢字の奉王のよ
うな煤模様がある。

今佐屋山奔王.gif

 上図のように、写真の左端の縁近くになっ
ているが、縦に奉王と書かれていて、すぐ
近くに取っ手があるように見える。
 奉王であって奔王ではないから、将棋と
は繋がらず、地域の有力者や大和朝廷に、
製鉄作業で得られた、剣等の物品を献上す
るときに付帯させる甕型土器(剣や矢を刺
すのか?)を少なくとも私には連想させる。
 古墳時代の墨書としては、奉馬の紹介が
本ブログでは比較的多かったが、馬や貴金
属類だけでなく鉄製品、たとえば武器類も、
税や献上物として納める事が、当然といえ
ば当然だったが、古墳時代から中国地方・
瀬戸内地方では既に普通だったのであろう。
(2022/03/11)

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