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大局将棋林鬼は清王朝時代閲微草堂筆記の琵琶法師(長さん)

以前、大局将棋の林鬼が、少なくとも鎌倉時代
に土器の墨書として成立していた疑いについて
述べた。今回は、鎌倉時代の林鬼の正体を知る
べく、文献「中国妖怪人物辞典」を調査したの
で、結果を紹介する。

江戸時代成立の閲微草堂筆記の林鬼が、同時代
成立の大局将棋の林鬼の元であるが、鎌倉時代
に成立したとは考えられない。

 林鬼が、固有名詞として紹介されていた、
「中国妖怪人物辞典」の書誌は、次の通り。
実吉達郎著、西暦1996年、講談社。
 妖怪の名称であり、同書の第690~691
ページに載っている。元の中国文献は前記の、
清王朝時代に成立した文献であるとの事。

林というは人物名であり、鬼は「林なにがし氏
が琵琶法師で、金銭的欲得に対して強欲な為、
そのような名前で、物語上呼ばれている」

という事である。大局将棋は、徳川家治の代頃
成立と少なくとも本ブログでは見るので、中国
の清王朝時代の、怪奇小説の類の情報が輸入さ
れて、大局将棋のこの駒名の元になったとして、
タイミング的に致命的な矛盾は無いと考える。
 ただし、内容は怪奇談だが、日本の鎌倉時代
までに、原話が遡れるとは考えにくいようであ
る。著者の紀昀が、林と同業の琵琶法師からの
又聞き話と物語の中で告白しているが、怪奇談
なので、原話というヒントは別に在っても、自
身の創作の公表ではないかとも疑われる。
 前に紹介した、鎌倉時代ないし、それ以前成
立の「林鬼」墨書土器は「林+鬼の絵」なので、

本ブログの管理人が、絵を鬼と決め付け林鬼で
あると結論する事自体に、誤りが有った

可能性があると当面、結論するしか無さそうで
ある。
 はっきり、林鬼と漢字で書かれた、室町時代
以前の墨書土器が出土したら、元ネタが何なの
か、解明が相当困難な事が、今回の調査で判っ
た。また繰り返すと、この中国文献が、大局将
棋駒名の林鬼の成立の元である疑いが、かなり
大きそうだとの心象も、日本でもその頃、たま
たま怪談が流行っていた事も聞き、今回得る事
が出来た。林という漢字はその他の辞書にあたっ
た感覚でも、林(はやし)学派の意味で林家
(りんけ)が使われることが有る等、今の感覚
よりも、苗字”林さん”の意味で使われること
が多かったようである。よって”林+鬼の絵”
墨書土器は、そのような顔の、林さん用の器の
意味で、墨書されている可能性も、全く無いと
まては言えなさそうであった。(2022/07/04)

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