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高見友幸氏が摩訶大将棋起源説反駁に対する返答(長さん)

ざっくり要約的に述べれば、「日本将棋の祖先は
水無瀬兼成将棋纂図部類抄の摩訶大大将棋である」と
マトメられるとみられる、摩訶大将棋起源説に対して、
大阪商業大学アミューズメント産業研究所紀要
第22号にて、奈良県立橿原考古学研究所/明治大学
の清水康二氏が批判を加えた論文を発表している。
すなわち、その表題は「摩訶大将棋起源説反駁」であ
る。それに対し、大阪電気通信大学の高見氏が再反論
したpdf文書が、現在web上に公開されている。
清水氏の文書は西暦2020年に公開されているので、
その後のweb上公開だと見られるが、web上に、
何時から在るのかは、私には正確には良くわからない。
文書自体の作成は、清水氏の文書が公開された、直ぐ
後が常識であろう。
すなわち清水氏のpdfが以下で、
Shimizu.22.pdf
高見氏のpdfが、次のとおりである。
Takami.23.pdf
高見氏のpdfは、このファイル名でgoogle
検索すれば、見つかるだろう。なお、windows
7と10とで、インターネット・ブラウザーのpdf
ファイルの取り扱いスタイルのせいかもしれないが、
ファイル名の表示が違い、7では、拡張子が.22pdfや、
.23pdfになる。
 web上の通説によれば、日本将棋は兵・象・馬・
車軍の4軍編成である、インドの古代チャトランガの
直系的な継承物であるため、日本将棋の先祖の支流が
摩訶大将棋/摩訶大大将棋という事になっている。
 摩訶大将棋/摩訶大大将棋が、高見氏の主張の根幹
とみられるように、日本将棋の先祖そのものであると
すれば、

およそ軽んじ難い存在な為、将棋に興味を持つ者が、
学習を避けては通れなくなるとみられ、高見友幸氏
の論は、その点で重大であり、駒数多数将棋の普及を
夢見る人間にとっては、夢のような話

ではある。しかしながら、そうは問屋がおろさず、
摩訶大将棋起源説反駁では、

ベーシックな論点として、興福寺1058/1098
年型出土駒は、木村義徳氏の、朝倉小将棋から飛車・
角を除いたモデルで、100%合致

と反駁の第116ページ付近で明快に指摘されている。
 最古の将棋駒の出土がこの史料のキャッチフレーズ
であり、まとまった情報は、現時点でも興福寺出土駒
が確かに最古な為、高見氏のpdfは、

興福寺という検索キーワードを使って、pdfを
検索し、その前後を読めば、清水氏の批判が潰せて
いるかどうかが、ただちに判るほど

であると、本ブログの管理人は見ている。
 そこで実際にpdfをキーワード検索をしてみると、

摩訶大将棋は興福寺出土駒より成立が早いとの旨指摘
しているが、具体的に新たな史料を示していない

と判る。なお高見氏の前記pdfでは
1箇所しか、キーワード「興福寺」が出てこない。
 史料を示していないのだから、興福寺出土駒の
成立より、摩訶大大将棋/摩訶大将棋の成立の方が
早いという根拠情報を、実質的に高見氏が、再反論の
時点で持っていないと疑わざるを得ないと、本ブログ
の管理人は考える。
 なお、本ブログはこれまで2年位、他ならぬその
史料探しに力を入れてきた事を、当の本ブログで繰り
返し示してきたつもりでいる。
 角将という概念が、10世紀に成立している疑いが
在るので、摩訶大大/摩訶大将棋よりも、

天竺大将棋の方が、日本将棋の先祖として、
むしろ有望な位である

というのが、本ブログが流してきた情報であった。

 清水氏の言うとおりで、興福寺出土駒は、日本最古
の将棋史料と表現して現時点でも、充分通っている

という事に、西暦2020年も西暦2022年も、
余り差が無いように、少なくとも本ブログの管理人
は理解する。だから、

インドチャトランガが、今の日本将棋の直系先祖で
あり、日本の駒数多数将棋は、日本将棋の先祖、
平安小将棋の支流であるという、web上の情報に、
大きな不的確性は無い

ように私も思う。
 「成りと持ち駒が無く、トライが在るというゲーム
は、マイクロソフトの表計算ソフト:エクセルや、
中国キングソフトの表計算スプレッドシートを
使えば、セルのマウスのひっぱり上げ機能だけで
遊べるので、日本将棋とは別に、その将棋すなわち、
後鳥羽上皇時代の進化中間段階的大将棋も、かつては、
小将棋と並べて日本の2種の将棋と持ち上げられて、
実際には支流だが指されて来たとすれば、真剣に継承
すぺきではないか」という主張の方が、

一定の駒数多数将棋、具体的には「水無瀬兼成の
将棋纂図部類抄の摩訶大大将棋は、現行の日本将棋の
先祖なのだから、内容を放置して、ないがしろにする
のは、けしからん」

という類の主張よりは、普及の原動力として現実有望
なのではないかと、本ブログの管理人は、以上の認識
から今の所、高見友幸氏の”普及戦法”に関しかなり
の疑いを抱いている。
 蛇足だが。摩訶大将棋の電気通信大学ルールで、
桂馬が飛龍型なのは、横飛前の歩兵が離れ駒になる
ので、元の桂馬飛びに戻したほうが良いと、本ブログ
の管理人は考える。(2022/07/20)

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